介護報酬の「改悪」に怒る

先日公表された2015年度からの介護報酬。

軒並みマイナスです。たとえば

小規模型通所介護(7時間以上9時間未満の場合)

要介護1 815単位/日   ⇒ 735単位/日
要介護2 958単位/日   ⇒ 868単位/日
要介護3 1,108単位/日 ⇒ 1,006単位/日
要介護4 1,257単位/日 ⇒ 1,144単位/日
要介護5 1,405単位/日 ⇒ 1,281単位/日

身体介護が中心である場合

所要時間20分未満        171単位 ⇒ 165単位
所要時間20分以上30分未満 255単位 ⇒ 245単位
所要時間30分以上1時間未満 404単位 ⇒ 388単位

生活援助が中心である場合

所要時間20分以上45分未満 191単位 ⇒ 183単位
所要時間45分以上        236単位 ⇒ 225単位

通院等乗降介助           101単位 ⇒ 97単位

(1単位は10円)

それはわたしたちが営んでいる居宅介護支援、訪問介護にとどまらず、施設も含むすべての介護サービスに大きな影響を与えるものです。

皆さんはこの改訂を事業者への影響と考えてはいないでしょうか?

とんでもありません。高齢者を支える家族へ大きな影響を与えます。

ご承知のように今の福祉の現場は慢性的な人員不足です。

何故こういう事態に陥ってしまったのか?廉価に抑えられた介護報酬の影響で介護、福祉労働者の賃金は他産業と比較してとても低い現状です。

雇用も非正規労働に依拠し、安上がりな労働者に依存しなければ経営が成り立たない不安定な環境です。

それに加え、介護労働の本質を忘れ、効率化が進められた現場は介護労働の魅力である「人の変化-発達」を作り出す支援が困難になっています。

こういう労働の質の低下はより介護の現場を荒廃させてしまいます。

労働の魅力も乏しく、雇用も不安定そんな環境に進む介護労働。介護労働者がいなくなるのは当然です。

そういう状況で介護を必要とされる方々に良質な福祉としての介護を提供していくのは至難の業です。

わたしたちはこういう困難な環境をより拡大する現政権へ強い怒りを感じます。

でも、わたしたちは歯を食いしばって福祉としての介護を追求したいと思います。

もちろんこの制度化での限界はあり、満足のいく仕事にはほど遠いかもしれません。それでも介護労働の本質を見据えてそれに迫ることだけは諦めません。

明るい高齢者の未来を造るためには介護労働の本質を見据えた仕事の追求、それを阻む政治に向き合う。この立場をわたしたちは堅持します。

わたしがかつて制作にに関わった大橋巨泉さんの番組で巨泉さんが発した言葉「一度地獄を見なければ天国に行けない、こんな日本の老後は間違っている」そのとおりです。

有田和生