生活とリハビリ研究所-三好春樹さんからの介護職へのエールです

高齢者の介護とリハへの道筋をいつも示して下さる三好春樹さんがこの困難な中でがんばる介護職へエールを届けて下さいました。
皆でこの困難を乗り越えましょう!
大切な命を守りきりましょう。
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介護は『必要火急』の仕事
生活とリハビリ研究所 
三次春樹

 介護っていい仕事だな、とつくづく思っています。
 わたしは29歳の時に特養ホームに就職し、4年半介護職として入浴介助などをしました。その後3年間学校に行き、さらに3年間、こんどはPT(理学療法士)として同じ特養で働きました。
 フリーになってからも、在宅や施設の介護に関わってきましたが、次第に講師の仕事の割合が増え、現場に直接関与することがなくなりました。
 そこに新型コロナウイルスです。3月以降、仕事はなくなってしまいました。回りを見渡すと、私と同じようなフリーの講師や、音楽家たちも仕事を失っています。あんたたちのやっている事は「不要不急」だ、と言われるみたいです。

 旅館やホテル、運送業といった観光客相手の仕事も倒産に追い込まれています。ついで飲食店だけでなく、外出自粛に焦点は次々とシャッターを降ろしました。

 変わらず営業しているのは食料品を扱う店やスーパーです。どんな状況でも人は食べなくてはならないからです。肉や魚、野菜なんか扱う仕事は、日銭を稼ぐ、効率がよいとは言えない仕事ですが、こんな危機的状況では強い仕事といえるでしょう。「不要不急」なんかじゃありません。
 医療という仕事はこうしたときにこそ必要で、病気に立ち向かう病院関係者へのエールが世界中で起きていますね。
 こんな時に逃げるわけにいかないのですから医師は大変な仕事だなぁ、と思います。
 日頃抱いている高給を取る医師へのやっかみも少しやわらぎそうです。

 食べもの、医療と並んで必要なのが介護です。
 非日常の中でいのちを守るのが医療なら、日常の中で命を守るのが介護です。これは難しい仕事です。
 というのも、こんな事態だからといって日常を失ってしまうとかえって高齢者の命を守れなくなるからです。
 
持病を持っている要介護高齢者の感染は
命に関わります。そしてその感染の最大要因は介護職です。
 なにしろ介護はテレワークなんてできません。それどころか”濃厚接触“そのものです。 だから今。介護職は自分の健康に気を付け、できるだけ家から出ない生活を、一般の人以上に心がけているはずです。
 家にいるといっても、優雅にソファに座ってはいられません。家事と育児に追われて、睡眠不足のまま、また現場に駆けつける毎日でしょう。介護職の皆さん発熱や体調不良のときには迷わず休んでください。それじゃ現場は回らない、たしかにそのとおりです。
 管理者、経営者の皆さん、今こそ人員を増やして下さい。急に応援に来てもらえる人はいませんか?以前職場にいた人が手が空いていれば声をかけて下さい。
 今、ハローワークには職を求める人がたくさんいます。体験も資格も興味も無い人に介護を託すのは心配?でも私もそうでした。
 介護の奥深いところは、専門的知識や技術より人生経験が役立つということです。若さと力でできることもあります。しばらくはそれでいいでしょう。その中から、介護の面白さ、他の仕事にはない魅力を感じとる人が出てくると思いますよ。
 私の仕事は、声がかかると出かけて行って話すというものです。今のようにどこからも声がないと、おまえは必要無いといわれているような気になります。
 その点、介護はいい仕事です。こんな事態でもなくなることはありません。それどころか、お年寄りが待っていてくれるんですから。「不要不急」どころか「必要火急」の仕事です。

 私は今年で70歳(!)なろうとしています。だから介護現場にいても足手まといになるだけでしょう。でも「介護職になにかエールを」と言われて、自分も必要とされているのかもしれない、と勝手に思ってこの文を書きました。少しでも「必要火急」になっていたらうれしいです。